「サクラソウ」といえば──区政15周年を記念して区民投票で選定された都筑区の花だ。
21年度に投票でサクラソウを選んだ人たちの思いが都筑区のHPに掲載されている。
いわく、
・ 華やかな感じが活気ある都筑区にピッタリだと思う。
・ 花言葉の「希望」が一番の決め手!人もまちも若い都筑区は、希望にあふれた街であってほしいと思う。
・ 元気で、若々しいイメージがあるから。
・ 都筑区にふさわしく、希望のある花として選びました。
なんとなく気持ちは伝わる。

だがおそらく90%の人が、「サクラソウ」と聞いて思い浮かべる花はこれではないか?
プリムラ・マラコイデスそう、ウォーキングの時にも配布されたプリムラ・マラコイデス。
いわゆる西洋サクラソウの一つだが原産は中国。プリムラ・ポリアンサ、ジュリアン(なんとサカタのタネ製らしい)、プリムラ・オブコニカなども花屋さんでよく見かける。

じゃあ日本には「サクラソウ」が無いのかといえば、いや、ある。「日本さくらそう」とわざわざ日本をつけて呼んではいるが、植物学上の和名でサクラソウといわれるもので、近隣だと埼玉県の荒川流域に群生地があり県花にもなっていたりする。奥日光で人為的に増やされて一躍観光名所化したはいいが、生態系のバランスが壊れるのではないかと危惧されてもいる「クリンソウ」も日本さくらそうの一種だ。

今回はこの「日本さくらそう」を育てて、うん?十年という横浜市緑の協会 緑の相談員 中島克己氏をお招きしての講義と実習の一日。
50人近くの参加者で、会議室はぎっしり。
他の会場だと一割は当日不参加者が出るのにと中島氏は目を丸くしていた。

会場中島さん

江戸時代にものすごく盛んになった「園芸」の1モチーフとなったサクラソウ。
アサガオや東洋ラン、オモト、カラタチバナといった園芸バブルを生み出した植物とは一線を画し、ひっそりと、しかし連綿と古典園芸植物として受け継がれてきたとの熱のこもる中島氏の講義。
園芸種300以上のスライドを披露してくださった。

元禄時代以前にすでに園芸品種化されたものや
スライド例1

珍しいトキ色のものも作出されたらしい
スライド1
スライド例サクラソウ2
サクラソウ3飾り棚
うつむき加減の花が競って作られたり、花の愛で方も下からのぞき込むような台に飾りつけたり、
アサガオもそうだが、江戸という特異な環境下、花や木もガラパゴス化していたのだなとわかる。

へぇーの声渦巻く中、スライドを観終ると、参加者に配られた苗の植え方、管理方法などの説明を聞き、植え付けの実際に突入。
薄くゴロ土を敷き、赤玉土・腐葉土の混合培養土に、元肥となる化成肥料はほんの少し。
芽と根の向きに注意しながら植え込む。
1人3鉢ずつ植込み、各々持ち帰る。サクラソウは7月にもなると地上部は枯れて無くなってしまうので、とかく夏場の水やりを忘れがち。来春の株分けが可能になるよう皆さんの努力が試されることとなった。