横浜市営地下鉄・センター北駅前の芝生広場を北に通り抜けたところに、観覧車がきれいに見渡せる小さな交差点がある。その角には、森をおもわせる深い緑色の看板とテラス席が目印のカフェが。Region レジオン~これが今回紹介するカフェだ。
レジオンとは「地方」を意味する。 「フランス料理」「フランス菓子」といった、今日広く知られているものは、様々な地方のスペシャリティーを凝縮し、洗練・昇華させたものであり、逆説的にいうと、それらの原点は地方にあるという事だ。「その精神を、修行・旅先の欧州各国のレストランで強く感じ、原点を忘れないという想いで、レジオンと名づけました。」と、オーナーシェフの藤巻さんは語ってくれた。
新潟出身の藤巻さんが全国を巡り、ここ都筑区にレジオンを構えたのは14年前。「非日常」の贅沢を愉しむレストランに対し、カフェはいつもの心地よさを愉しむ「日常」の場。”ゆったりとした寛げる歩道”は、藤巻さんの理想にぴったりだった。
そんな居心地の良い日常を提案するレジオンは、様々なスタイルで愉しむことが出来る。 朝7:30からのモーニング。
14:30までやっているオーガニックなランチ。テイクアウトできるパンやお菓子。オーガニック食材や料理キットも取扱い、料理教室も開催している。だからだろう。レジオンのテラスには、気持ちよく自分の時間を過ごしている人たちの姿が、常に絶えない。
早速レジオンいち押しの”レジオン22”というパンを食べてみた。玄米と8種の穀物を使ったこの田舎パンは、噛めば噛むほど、素朴だがしっかりとした味わいが口に広がり、ワインとの相性も良さそうだ。オーダーに応じて量り売りしてくれる点も嬉しい。国産小麦と藤沢全粒粉で焼き上げたロールケーキ”ルーロ レジオン”は、見た目はシンプルでライトな感じだが、口にすると、素材の持つそれぞれの深い味わいが重なって、一般的なロールケーキとは一線を画す。焼き菓子の定番フィナンシェもケーキ同様、素材の風味が豊かだ。いずれにしても、レジオンならではの大地の恵みを感じ取れる逸品である。
レジオンの提供する「食」の美味しさは、マクロビオティックと関係している。小田原のデザート専門店勤務時代、肉食中心の食生活の改善を提唱するマグガバンレポートに関する講演を聴講し、ご自身のお子さんがアトピー疾患を抱えていた事もあり、藤巻さんの菓子作りスタンスは大きく変わり、マクロビオティックへとシフトしていった。
現在レジオンでは、ライ麦は北海道産、全粒粉は神奈川県藤沢産を使用している。野菜は近くの契約農家を増やしてゆきたいとの事。合わせて、認定を受けていても微量の化合物を含むケースが多い、ワインやドライフルーツといった加工品も、完全にオーガニックなものにして行きたいと言う。
「食は、人と人のコミュニケーションの要だと思っています。体に優しい美味しいものは、一人ではなく多くの人と語らい、繋がりながらゆっくりと味わいたい。繋がりたいから、ゆっくりと食卓を囲みたくなる、そんな丁寧に作られた食べ物が欲しくなる。コミュニケーションが充実したものになれば、色々な問題が解れて行くと思うのです。」そう熱く語る藤巻さんに、深く頷いた。
「マクロビオティックやオーガニックってよく分からないのだけど…」と躊躇せず、一度レジオン訪れて欲しい。自分が本来持っていた、もう一つの味覚が呼び起こされるだろう。
※マグガバンレポート
マグガバンレポートとは、1970年代米国で、国政を圧迫する生活習慣病の医療費問題を解決すべく、多方面の専門家・数年の歳月を投じ、原因を追及した報告書である。結果は肉食中心の食生活を改める事。
★Region レジオンを紹介してくださった北川美智子さんのインタビューページはこちら
>>ツヅキネーゼvol.8 北川美智子さん







住所:〒224-0003 神奈川県横浜市都筑区中川中央1-37-23 ルネス・ヴィクトワール 1F
最寄り駅:横浜市営地下鉄 ブルーライン・グリーンライン センター北駅より徒歩2分
TEL:045-910-2345 FAX:045-910-2346
営業時間:7:30~18:30(LO18:00)
定休日:水曜日(祭日は営業)第4火曜日休日(不定休の月あり)
公式サイト: