昔はどこへ行っても、一つのまちに一つの商店街があり、地元に密着した美味しい惣菜屋があったものだ。それが自分のまちへの愛着と一緒になって、懐かしい記憶と残ることもある。横浜市営地下鉄・中川駅のすぐ側にも、とっておきの弁当・惣菜屋がある事をご存知だろうか。それが今回紹介する、vegideli ベジデリだ。

駅の改札口を抜け、信号を住宅展示場方面にわたり、最初の角を右に曲がる。すると、会社や医療機関が集まった無機質なエリアに、ひときわ明るい白い看板が目にとまる。看板だけではなく、窓枠もチョークボードも全て白。ショップロゴは、フレッシュなオレンジ＆ライム色で、なんとも爽やかだ。

vegideli（ベジデリ）＝ベジタブル（野菜）＋デリカテッセン（惣菜）。店名そのまま、ここには、野菜をたっぷり使ったヘルシーなお惣菜が、それはそれは沢山ある。フレッシュなサラダは、自家製ドレッシングも選べて、常時５、６種類。毎日入れ替わるおかずは店頭に約20種類。新鮮な野菜の彩が食欲をそそり、どれにすべきか迷ってしまう。

特筆すべきは、バラエティーに富んだ味付け～ワールドワイドなメニューだろう。バングラディシュの家庭料理はもちろん、日本のレストランで、インド、タイ、スペイン、イタリア、メキシコ料理の勉強をした、メインシェフの Belal Hossain Bahar（ベラール・ホサイン・バハール）さん。日本に来て10年になるそうだが、安全で安心な日本国産食材をベースに、オリーブオイルは、世界のレ ストランでNO.1と称されているスペイン Ballester（パジェステル）社製を使用、スパイスは母国バングラディシュから取寄せたものを使い、各国の味を、バランスよく調理する。味には定評があり、事実、あまりの美味しさに、レバー嫌いの人が「鶏レバーのクリーム煮マスタード風」でレバーを食べれるようになり、茄子嫌いの子供が、ここの「揚げ茄子のアーリオ」だけは進んで食べるという具合だ。

なるほど、「野菜がたっぷり食べれて、色んな国の料理が一度に食べれる」とあれば、行列が出来るわけだ。常連さんが多いのも頷ける。

お店のスタッフはベラールさん含めて5, 6人。朝8時前後から仕込みをはじめ、11時にオープン。お昼時は、当然のように人が並び、15時ごろようや く落ち着く。お昼の盛況で、夕方はどうしても品数が限られてくるが、予め電話等で予約をし、材料があれば時間に合わせてわざわざ作ってくれる事もある。これはありがたい。

取材の為に5品のセレクト・オードブルをオーダーした。こちらはメニューの中からお好みの5品をチョイス出来る。
1品目は[かぼちゃのコロッケ]。かぼちゃ本来の素朴な甘さと、軟らかすぎず硬すぎない、絶妙なホクホク感がなんとも言えない。男性に好まれそうな食感だ。2品目は[さっぱり蒸鶏のサラダ]。ふっくらヘルシーな蒸し鶏と、香草と生玉ねぎがいい塩梅。[ほうれん草とひじきの胡麻和え]は、胡麻和えというより白和えに近い感じ。ひじき＋ほうれん草＋胡麻というなんともヘルシーな組合せと、上品な味付けで、いくらでも食べれそう。[揚げ茄子のアーリオ （にんにく風味）]は、今回食したもの中NO.1で、前述の上質なオリーブオイルと、にんにくの風味が抜群。これだけどかっと買い込んで冷蔵庫にストッ クしておきたいくらい。人気定番の鶏から揚げは、オプションで大根おろし、スイートチリソース、激辛ナンプラーソースと、ソースも選べるのが嬉しい。

食べ終えて思った事は、ここベジデリの惣菜は、大手スーパー、百貨店のそれと比べると、いずれも塩分が薄めで、スパイスや味のアクセントとなる食材を巧く活かしており、食べていて飽きないという点。これは凄いと思う。

行く行くは、レストランもチャレンジしてみたいというバハールさん。「多くの国に行きましたが、色々な意味で安全で安心な日本に落ち着きました。何よりもこのまちの人は優しい。ベジデリを好きでいてくれる人たちの為にも、今はこのお店で、もっと頑張りたいです。」との事。バハールさんは日本語も上手。惣菜について質問すると、ていねいに説明してくれる。だから、ついついどれもこれも試したいと、今日もベジデリにやってくる人が絶えないのだろう。いつもと違う味が欲しい時、人が集まるホームパーティーに。是非ご近所の素敵なワールドワイドなお弁当・惣菜屋、ベジデリの利用をおすすめしたい。

★vegideliを紹介してくださった松尾淳美さんのインタビューページはこちら
>>ツヅキネーゼvol.9　松尾淳美さん